時計のニュースが集まって 松本良幸Blog

SIHH2016見て歩き:オーデマ ピゲ 文・菅原 茂

 

スイスの時計展示会で高級時計の花形として注目を浴びるのは、昔も今も複雑時計だ。機械式時計では伝統的に、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)が3大複雑機構とされる。ここで「伝統的に」というのは、これらの複雑機構が開発されたのが今からおよそ2世紀も昔に遡り、現在も当時の基本原理に基づいて作られ、「現役」として存続しているからだ。他の産業分野ではちょっと考えられないだろう。

 こうした最高峰の複雑機構を見ていて、いつも頭によぎるのは「同じことの繰り返しは、退化である」という、ずいぶん昔にどこかで時計師から聞いた言葉だ。伝統を大切にしながら技術の継承に努めることはもちろん重要だが、そこに革新を加えていかなくては、進歩はなく、未来へとつながらないことを端的に言い表している。